たった1人で17年。パスタ屋の限界を見た。


こんにちは。はじめまして「アラフォーのカレー屋店主」こと遠藤と申します。


ワタクシ、26歳のときに今のお店をひとりで開業しまして、おかげさまで2019年3月で17周年を迎えることができました。


44歳のおっさんではありますが、決してあやしいモノじゃございませんので、どうぞ、よろしくお願いします。



私の店は埼玉県戸田市にありまして、名を「ダンデライオン」と申します。私の師匠のお店が「たんぽぽ」だったもので、同じ名前をいただきました。



カレー屋(自称)といってますが、パスタやグラタンなどもありカレーの専門店ではありませんが、店主自慢の逸品は「自家製インド風カレー」&「焼キーマカレー」ですので、どうぞお見知りおきを!



【喫茶店をやりたかったが・・・】


私は、幼少の頃から小さくてもいいから”自分の店”を持つことを目標にしていました。


ここで「憧れていた」とか「夢でした」と書かないのは、店を持つのは既定路線で”自分のペースでのんびり暮らしていく”ことに憧れていたからです。



自分の中で、サラリーマンをして社会を経験し30歳くらいで脱サラして細々、喫茶店できたらいいなぁと考えていました。


子供のころからコーヒーが好きだったので喫茶店のマスター像がイメージしやすかったのかもしれません。


しかし、私が20歳を過ぎたあたりから、いわゆる「純喫茶」は淘汰の傾向にありました。



ガ――ン!!
ガ――ン!!



なので、なにか調理できるようにならないとまずいと感じ、パスタにフォーカスしました。



当時、思っていたのは、パスタは誰が茹でても時間どおり茹でればいいし、あとはソースさえ作ることができれば ”パスタ屋” できるんじゃないか!


「何屋やってるの?」」って聞かれて「ラーメン屋」って答えるより「パスタ屋!」って言うほうがカッコいいよな!


という単純な発想でした。



なので、サラリーマンを2年で辞め、当時は週末を私の師匠の店でお手伝いをさせてもらい、平日はパスタ屋でバイトをしてました。


ちなみに、カプリチョーザとジョリーパスタです。


両店ともに調理は普通にパスタを作るので、とにかく、パスタをソースにあえるための鍋ふりを覚えようとしていました。



師匠の店では、主にホールの手伝いをしながら野菜を切らせてもらったりと、包丁の基本的な使い方を教わりました。


あとは、2人で酒を飲みながら将来を語り合いました!


【いざ開業してみると・・・】


サラリーマンを辞め、なんだかんだで2年ほどが経ち、鍋ふりや野菜のカットなど最低限の技術を身につけ、開業準備に入りました。


初めての経験なので怖々と不動産屋を回り、なんとか場所を決め、工務店などは地元の父の知り合いに任せて、自分は調理道具やテーブルなどの備品をそろえ、なんとか開業にこじつけました。


メニューは、ランチはスパゲッティのみの構成にして、夜は、おつまみなども用意して、お酒が飲める”バル”風にしました。


立地場所が、おおきな病院の近くだったこともあり、病院の事務職の人たちが平日のランチに利用してくれるようになり、開業してすぐに繁盛するようになりました。



しかし、ここで問題が発生したのです。


26歳の若さと無知がゆえの度胸で始めた飲食店。やっていくうちに、修正していけばいいだろという考えだったので、早くもトラブルが・・・



それは、店の喚起力のなさでした。



主にキッチンがそうだったのですが、10坪程度の小さい店なのでキッチンにつけた換気扇も、そこまで強力なモノではなく、


パスタを茹でるゆで麺機の蒸気やガス台を使った時の熱気を吸い上げることができず、店内全体が暑くなってしまうのです。




夏場は特に”ヤバい”です。店内が暑い店なんていたくないですよね。





解決策として、キッチンにもう1台の換気扇をつけ、なんとか客席に熱気がいくのを防ぐことができました。


しかし、キッチン内の暑さは強烈でした。


火を使う場所なので涼しいなんてことはないのですが、それでも毎日、汗がボトボトと落ちるような状況での仕事に、「これは体が壊れるし、この環境はおかしい。」と思い始めました。


この時になって、パスタに限らず“麺”をゆでる飲食店のキッチンは、夏場はキツイなと痛感しました。



【パスタ屋の限界】


私のお店の場合を考えると、パスタを売りにして続けていくことは無理でした。


おそらく、体を壊していたと思います。

(暑すぎるだけなんですけど・・・)



~ 私のような個人店でパスタ屋やるのが大変な理由 ~



■ ラーメン屋などとくらべて、圧倒的に麺のゆで時間が長い。(*乾麺の場合)


ラーメン屋などはだいたい1分か2分ほどのゆで時間に対し、パスタは太さによりますが時間かかります。


私の店では乾麺で6分のものと9分のものを扱っていたので、お湯の蒸気で夏場は長時間サウナ状態でした。




■ ゆで時間が長いということは、料理の提供時間が長いということ


料理の提供時間が長いということは、お客の回転率が悪いということです。


さらに、ランチの場合、会社の昼休みに来店する人も多いため、待たせる時間が長いとお客としても急いで食べて戻らないといけなくなります。


あるいは、最悪のケースは、混雑時はお昼休みの時間を過ぎてしまうことも考えられます。


そんなお店にまた行きたいとは思いませんよね。




■ 調理作業が時間(特に秒単位)で縛られる


これは、ひとり運営において、かなり大きなデメリットです。


茹で上げパスタを美味しく作りたければ、タイマーをセットして時間キッチリに鍋からあげてソースとからめたいですよね。


ひとりだと、注文を取りにいったり来店されたお客様を案内したりと、キッチンから離れることがしばしばあります。


その動きが、茹で時間というものに制限されてしまいます。



他のものであれば、カレーならば温めている状態を焦げない程度に放置できますし、グラタンなら焼き色がつきすぎない程度にオーブンの中で放置がききます。


パスタは、この何十秒の放置も許されないことが、作業するうえでかなり効率が悪いと言えます。




■ 他の料理にくらべると盛り付けが面倒


他の料理、例えば、グラタンですと器にショートパスタとソースをあえたものをいれ、チーズをのせオーブンに入れる。

焼き色がついたら完成です。


カレーライスでいえば、カレーソースを作るか、温めるかでソースを用意し器によそったライスにかければ完成です。


パスタはどうでしょう。


ミートソースやスープパスタなどは、麺にかければ完成ですが、だいたいのものはフライパンにソースをいれ、茹でた麺をそこで絡ませます。

そして、お皿に見栄え良く盛り付けます。




この”見栄えよく”が、面倒なのです。



人によって見た目は変わりますし、なにより盛り付けが下手な人は美味しそうに見えないのです。


これは、技術の1つとして身につけているか、センスの問題になり、他の料理では全く必要がない手間が要求されます。


しかも、1つのフライパンで2人前など作ろうものなら、難易度はさらにあがり、カレーやグラタンなどの比じゃありません。


さらに、この“手間”が生じることにより、「提供時間が遅くなる」可能性も出てきます。


もっといえば、ソースとパスタをあえている時間も他の料理より長いため、ガス台の火の放射熱(*IH機器は除く)でキッチンの暑さに拍車をかけます。




■ 他の料理とくらべると光熱費が高くつく


これはパスタ屋に限ったことではないですが、麺をゆでるところは当てはまると思います。


主にガス代ですね。(*IH機器の場合は電気代)


お客がいなくても、お湯は用意しておかないといけないので弱火にして待機させておく必要があり、ランニングコストは、けっこうかかります。


火を消して、注文が入った時にお湯を準備するにも、沸騰までにかかる時間でガス代は余計にかかります。

とにかく、面倒です。




以上がパスタ屋のデメリットです。

”暑さ” と ”面倒さ” が大きな要因と言えると思います。



メリットは、今の私(*2109年5月)が考えると・・・ありません。



じゃあ、現在の私は、パスタをやめてしまったのかと、やめられてないんです。



【私の店の現状】


やめられない要因は、昔からの常連さんの存在でした。


やはり、昔から私のお店に来ていただいている方が今でもいらっしゃるので、パスタメニュー自体は今でもあります。



パスタ屋としてはじめた店ですが、パスタ調理に慣れてくると、グラタンやドリアといったものを増やしていき、少しずつパスタ以外のものをアピールしはじめ、パスタの写真をいっさい出すのをやめました。


さらに、5年ほど前から主軸の商品を”カレー”にして、”パスタ屋”色を完全に打ち消しました。


さらに、パスタのメニュー欄に、正直に「茹で時間が〇分です。混雑時はお時間かかります。」と明記し、パスタの注文がだいぶ減るようになりました。


そのおかげで、今では(*2019年5月)IHヒーターをIH台購入し、IH用の鍋に浅くお湯をはって1人前ずつパスタを作るようにして、作業がだいぶ楽になりました。


しかも、IHヒーターを使うことによって放射熱をおさえることができ、キッチン内の環境もだいぶマシになりました。


(あくまで、調理場において涼しさを求めてはいけません。それは、贅沢というか無理な話なので。)



おかげさまで、2019年5月、現在、アラフォーのカレー屋店主の”自家製カレー”を売りにして、カレーを食べに来てくださるお客様が増え、ランニングコストや調理の負担も減り、開業当初よりもずっとストレスなく仕事ができています。


アラフォー店主自慢のカレーがどんなものか知りたい方はコチラをご覧ください

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■ 「たったひとりで17年!アラフォーのカレー屋店主の渾身のカレー紹介します!」へGo!!



【アラフォー店主の結論】



以上、少しの経験談でしたが、これからカフェなどを開業したい方などいましたらパスタメニューには要注意です。


というか、私はパスタをメニューに入れることはオススメしません。


長々と読んでいただきありがとうございました。



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PS.

自分でお店をやりたい方など、聞いてみたいことなどありましたら何でもお聞きください。ワタクシ、1人飲食店経営の現役ですので、実体験をもとにお答えできたらと思います。


勘違いしてほしくないのが、私は経営のコンサルタントでもなんでもありません。


ただただ、コツコツ売上を積み重ねて17年続いているという経験があるというだけです。


ですので、「こういうやり方もありますよ」というレアな実話を参考にしていただければ光栄です。

それでは、失礼します。

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